いよいよ選択した「証」から対応する漢方薬を選択する段階です。
これまでお伝えしたように「証」を判断しますが、「表」・「裏」・「熱」・「寒」は組み合わせて表現します。
1 「表熱」
「表熱」は、急性期・病気の初期や、体表部に近い部分で熱を持っている状態です。
整形外科疾患では、手関節の腱鞘炎や上腕骨外上顆炎などが該当します。
対応する代表的な漢方薬は、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)などです。
2 「裏熱」
「裏熱」は、慢性期や、体の深部が熱を持っている状態です。
対応する代表的な漢方薬は、小柴胡湯(しょうさいことう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)、五苓散(ごれいさん)などです。
3 「表寒」
「表寒」は、急性期・病気の初期で自覚的に寒い状態です。
この自覚的の部分が大切で、例えば39度の熱があっても本人が「寒い」と感じれば、「寒証」です。
ですからインフルエンザや風邪などの引き始めで、熱がある場合でも「表寒」です。
対応する代表的な漢方薬は、桂枝湯(けいしとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)などです。
4 「裏寒」
「裏寒」は、慢性期や、体の深部が冷えている状態です。
対応する代表的な漢方薬は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)、六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、大防風湯(だいぼうふうとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、二朮湯(にじゅつとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、真武湯(しんぶとう)、八味地黄丸(はちみぢおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などです。
5 「気虚」
「気虚」は、全身の倦怠感、意欲低下、精神的・肉体的疲れなど、生命エネルギーが減少した状態です。
対応する漢方薬は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が最も使用頻度が高く、ほかには、六君子湯(りっくんしとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、大防風湯(だいぼうふうとう)があります。
6 「気逆」
「気逆」は、「気」が通常の循環ではなく、逆流した状態のことです。
冷えのぼせと言って、上半身に熱感、下半身に冷感がある状態が特徴です。
対応する漢方薬は、加味逍遥散(かみしょうようさん)が最も使用頻度が高く、ほかには、抑肝散(よくかんさん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)、治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、五積散(ごしゃくさん)、桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)があります。
7 「気鬱」
「気鬱」は、抑うつ傾向など、気がうっ滞・停滞した状態のことです。
対応する漢方薬は、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)が最も使用頻度が高く、ほかには、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、香蘇散(こうそさん)、女神散(にょしんさん)があります。
8 「血虚」
「血虚」は、「血」が不足した病態のことです。
「血虚」に対応する漢方薬は四物湯(しもつとう)が有名ですが、四物湯は単独で使われることはほとんどなく、代わりに四物湯を含む漢方薬である十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、大防風湯(だいほうふうとう)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、温経湯(うんけいとう)、女神散(にょしんさん)が使われます。
9 「瘀血」
「瘀血」は、「血」の流れが滞った状態のことです。
「瘀血」を改善する漢方薬を駆瘀血剤と呼びます。
駆瘀血剤には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、疎経活血湯、治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)があり、虚証・実証を考えて使います。
具体的にはこの順で虚証→実証に対応します。
著しい「虚証」の「瘀血」には桂枝茯苓丸、かなりの「実証」の「瘀血」には通導散です。
10 「水毒」
「水毒」は、「水」の停滞・偏在があり、多くなってしまっている状態のことです。
対応する漢方薬は、五苓散(ごれいさん)が最も使用頻度が高く、ほかには、猪苓湯(ちょれいとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)、加味逍遥散、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、小青竜湯(しょうせいちゅうとう)、治打撲一方、桂枝茯苓丸、五積散(ごしゃくさん)、六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、二朮湯(にじゅつとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などがあります。
このように、「証」に当てはまる漢方薬が複数ありますが、この中から総合的に「証」を判断して漢方薬を選択することになります。
エメラルド整形外科疼痛クリニック
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