「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」では、約40ぺージに渡り、10種類、23の薬剤について説明されています。
10種類の骨粗鬆症の治療薬のうち、主に使用される8種類について、簡単にご説明します。
①カルシウム薬は、骨にとって必要不可欠な栄養素であるカルシウムを内服によって摂取する薬のことで、単独で使用されるより他の薬と併用されることが多いです。
②女性ホルモン薬は、文字通り女性ホルモンです。結合型エストロゲンは骨粗鬆症に有効ですが、乳がん、心血管障害、脳卒中、血栓症のリスクを高めるため、骨粗鬆症に対しては使用できません。そのほかの女性ホルモン薬には、エストリオールやエストラジオールがあります。
③活性型ビタミンD3薬は、カルシウム代謝改善と骨代謝改善作用がありますが、高カルシウム血症に注意が必要です。
④ビタミンK2薬は、骨芽細胞に作用し骨形成を促進する作用があり、骨吸収を抑制する作用もあります。しかし、ワーファリンを内服している場合は使用できません。
⑤ビスホスホネート薬は、破骨細胞の活性を抑制することで骨吸収を抑制する作用があります。胃腸障害はある程度の頻度で発生します。また、非定型大腿骨骨折のリスクがあります。顎骨壊死のリスクについては、一時期はやや過度に慎重な対応がされましたが、最新の顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023(2)では、「抜歯時にビスホスホネート薬や抗RANKL抗体薬を休薬しないことを提案する」となり、これらの薬を休薬することによる骨折のリスクの方が重要視されています。
⑥SERMは、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selective estrogen receptor modulator)のことであり、骨に対してはエストロゲン様作用を発揮することで骨粗鬆症に対し有益に働く半面、乳房や子宮に対しては抗エストロゲン作用を発揮します。しかし、深部静脈血栓症のリスクがあります。
⑦カルシトニン薬は、破骨細胞や前破骨細胞にあるカルシトニン受容体に作用し、機能を抑制することにより骨吸収を抑制する薬です。また、下行性疼痛抑制系に作用することで痛みを改善する効果があります。副甲状腺ホルモン薬は、ヒト副甲状腺ホルモン分子の活性部分であるN末端から34番目までのアミノ酸鎖に相当するポリペプチドの薬で、遺伝子組換えのものと、化学合成によるものの2つがあります。骨形成を促進する作用がかなり強いことが特徴です。なお、悪性腫瘍が骨転移している場合は使用が禁止されています。
⑧抗RANKL抗体薬は、破骨細胞の分化や活性化に必須なサイトカインであるRANKL(NF-kB活性化受容体リガンド)に対するヒト型IgG2モノクローナル抗体の薬剤で、破骨細胞の活性を抑制し骨の吸収を抑える作用があります。低カルシウム血症、非定型大腿骨骨折のリスクがあります。前述のようにビスホスホネート薬と同様に顎骨壊死のリスクがあります。
エメラルド整形外科疼痛クリニック
札幌市北区麻生に開院し、痛みに対して積極的に治療を施行(電話:011-738-0011)
・治療方針:「両極の治療」
・治療方針の解説:全国初の試みである『モデル症例報告』を通じて、わかりやすく詳細に解説
・特徴:多彩な独自の治療法(漢方薬、バイオフィードバックなど)
・リハビリテーション:理学療法士は担当制で、2単位40分で実施
・骨粗鬆症:『骨粗鬆症打開プロジェクト』を展開するなど、積極的に治療
・院長の書籍:『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』
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