最も深刻な現実:適切な治療を行っているにもかかわらず、骨密度が改善しない症例がかなり多い
エメラルド整形外科疼痛クリニックは、2019年の開院以来、骨粗鬆症を積極的に治療しています。
しかし、拙著『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』にも記載したように、
・骨粗鬆症に対して適切な治療や生活習慣の改善の指導を行っているにもかかわらず、骨密度が改善しない症例がかなり多い
ことが現状です。
なぜ、適切な治療や生活習慣の改善の指導を行っても、骨密度が上昇しなことが多いのか?
なぜ、骨粗鬆症の適切な治療や生活習慣の改善の指導を行っても、骨密度が上昇しないことが多いという現実が起きているのでしょうか?
一つずつ順を追って解説していきます。
1. まず、「適切な治療」とは何か?
2. 「適切な治療」は、既に行っている
3. そもそも、骨粗鬆症の「本当の治療」とは何か?
4. 骨粗鬆症の「本当の治療」とは、薬物治療と生活習慣の改善の指導を、両方行うこと
5. 生活習慣の改善は十分でないことが多い
6. 「自己流」の生活習慣の改善は良くない
1.まず、「適切な治療」とは何か?
骨粗鬆症のガイドラインに基づいた「適切な治療」
まず、骨粗鬆症に対する「適切な治療」とは何でしょうか?
骨粗鬆症の治療ガイドラインでは、骨粗鬆症薬の有効性を、骨密度上昇効果について、「A 上昇効果がある」、「B 上昇するとの報告がある」、「C 上昇するとの報告はない」の3段階で評価し、「A」が最も良い評価です。
骨折発生抑制効果についても同様に、「A 抑制する」、「B 抑制するとの報告がある」、「C 抑制するとの報告はない」の3段階で評価し、「A」が最も良い評価としています。
その結果、骨密度上昇効果も骨折発生抑制効果もすべてが「A」の薬剤で保険適応がある薬剤は、ビスホスホネート薬のアレンドロン酸、リセドロン酸、抗RANKL抗体薬のデノスマブの3つだけです。
つまり、これら3つの薬を選択することが「適切な治療」と言えます。
最新の知見に基づいた「適切な治療」
2018年に、2年間という短期間に限定した報告ではありますが、骨粗鬆症の各治療薬による腰椎と大腿骨近位部の骨密度増加の結果を比較した報告が発表されました。
(McClung MR. Osteoporos Sarcopenia 2018.)
結論としては、
・ロモソズマブを12か月使用してからデノスマブに切り替えて12か月使用
した結果が、最も優れていました。
また、
・デノスマブはアレンドロン酸より骨密度増加作用が高い
こともわかりました。
つまり、2年間という短期間について限局した条件とはなりますが、最も推奨される薬剤はロモソズマブで、2番目はでデノスマブいうことになります。
ロモソズマブは、通常の骨粗鬆症には使用できない
ここで1つ、注意点があります。
それは、ロモソズマブは骨折の危険性の高い骨粗鬆症にしか保険適応がない上に、さらに厳密な保険適応条件が独自に決まっているということです。
そのため、ロモソズマブは通常の骨粗鬆症には使用できません。
以上より、「適切な治療」とは・・・
以上を纏めると、「適切な治療」とは、
・通常の骨粗鬆症であれば、デノスマブを使用する
・ロモソズマブの保険適応条件を満たすようであれば、ロモソズマブを使用する
ことと結論づけることができます。
2.「適切な治療」は、既に行っている
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、上記の「適切な治療」を、以前から既に行っています。
しかし、それでも、骨密度が改善しない症例が、実はかなり多いことが現状です。
つまり、骨密度が改善しない症例が、実はかなり多いことには、「適切な治療」のほかに別の要因があるということです。
3. そもそも、骨粗鬆症の「本当の治療」とは何か?
「骨粗鬆症の治療法」については、2つの考え方がある
別の要因について考える際に、はずすことができない、とても重要なことがあります。
それは、そもそも骨粗鬆症の治療法とは何かということです。
このことについては、
①ほぼ全ての医療関係者
②健康についての意識が高い方
で、考え方がかなり乖離しています。
①ほぼ全ての医療関係者の考え方~骨粗鬆症の治療法は薬物治療のみ~
医療関係者が考える骨粗鬆症の治療法とは、「骨粗鬆症の治療法は薬物治療のみで、そのほかの治療法はない」です。
もし、薬物治療以外の治療法があると考えているのであれば、医師の責任として、その別の治療法を患者さんに説明する義務があることになります。
しかし現実的にはほぼ全ての医師が、薬物治療以外の説明をしません。
つまり、「骨粗鬆症の治療法は薬物治療のみで、そのほかの治療法はない」と考えているということです。
②健康についての意識が高い方の考え方~骨粗鬆症は生活習慣病~
これに対してて、健康についての意識が高い方が考える骨粗鬆症の治療法は違います。
それは、「骨粗鬆症は生活習慣病であるので、生活習慣の改善こそが治療法だ」です。
これは正論です。
ほかの生活習慣である高血圧や高脂血症の治療が、薬も使用しますが、第一に生活習慣の改善であることと同様です。
4. 骨粗鬆症の「本当の治療」とは、薬物治療と生活習慣の改善の指導を、両方行うこと
以上より、骨粗鬆症の方にとって「本当の治療」とは、薬物治療と、日光浴・食事・運動などの生活習慣の改善の指導の両方を行うことであることは、明らかです。
そのため、エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、骨粗鬆症の患者様、あるいは骨粗鬆症の治療法について興味がある患者様に、【骨粗鬆症打開プロジェクト】の冊子をお見せしながら「本当の治療法」についてご説明しています。
骨粗鬆症の「本当の治療法」
5. 生活習慣の改善は十分ではないことが多い
ここで、冒頭の、骨粗鬆症に対して、適切な治療や生活習慣の改善の指導、つまり「本当の治療」を行っているにもかかわらず、骨密度が改善しない症例が実はかなり多いに話を戻します。
エメラルド整形外科疼痛クリニックでは、
・骨折の危険性の高い骨粗鬆症の方には、最も骨密度増加作用が強いロモソズマブと生活習慣の改善の指導
・通常の骨粗鬆症の方には、2番目に骨密度増加作用が強い薬剤であるデノスマブと生活習慣の改善の指導
を治療方針として骨粗鬆症の治療を行っていますが、それでも骨密度が上昇しないことが、かなり多いということです。
なぜ、このような現実になってしまうのでしょうか?
この問題に対しては、しばらく原因がわかりませんでした。
しかし、多くの患者様の治療に携わっていくうちに、その理由がわかりました。
その理由の1つ目が、生活習慣の改善が十分ではないことが多いということです。
生活習慣改善という行動を起こすこと自体は、素晴らしいこと
主な生活習慣の改善の項目には、日光浴、食事、運動の3つがあります。
そして、それぞれの項目について推奨となる内容については、拙著『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』の中で詳細にご紹介しています。
大切なことは、知識を得た後に行動することです。
ですから、生活習慣の改善を試みるという行動を起こすこと自体は、とても素晴らしいことです。
また、できることから少しづつ開始することも大切なことではあります。
しかし、骨粗鬆症に対しては、抜本的な生活習慣の改善が望ましい
しかし、骨粗鬆症の場合、些細なことが原因で骨折してしまう危険性があります。
また、一度骨折が起きれば、骨折連鎖が起きてしまいます。
そしてその結果、寝たきりになってしまう危険性があります。
ですから、
・骨粗鬆症に対しては、抜本的な生活習慣の改善が望ましい
と言えます。
生活習慣の改善が抜本的でなければ、骨密度が速やかに増加することは困難です。
6. 「自己流」の生活習慣の改善は良くない
骨粗鬆症に対して、「本当の治療」を行っているにもかかわらず、骨密度が改善しない症例が実はかなり多い理由の2つ目は、「自己流」の生活習慣の改善は良くないということです。
確かに多くの骨粗鬆症の方は、どのうような生活習慣の改善が適切かを知ることは困難です。
書店に行っても、インターネットを検索しても、高いエビデンスに基づき、さらに、日光浴・食事・運動という広い領域を網羅した「本当に良い生活習慣の改善法」を知ることはできません。
そのため、「自己流」の生活習慣の改善となってしまうことは、やむをえません。
しかし、そのような「自己流」では、骨密度を速やかに増加させることはできないでしょう。
やはり、高いエビデンスに基づき、さらに、日光浴・食事・運動という広い領域を網羅した「本当に良い生活習慣の改善法」を見つけ出すことが必要です。
高いエビデンスに基づき、さらに、日光浴・食事・運動という広い領域を網羅した「本当に良い生活習慣の改善法」は、存在しなかった
正直、これまで、高いエビデンスに基づき、さらに、日光浴・食事・運動という広い領域を網羅した「本当に良い生活習慣の改善法」について記載している本はありませんでした。
しかし、それでは、骨粗鬆症の多くの方が困ってしまいます。
そのため、エメラルド整形外科疼痛クリニックの院長が、高いエビデンスに基づき、さらに、日光浴・食事・運動という広い領域を網羅した「本当に良い生活習慣の改善法」について記載した本を出版しました。
それが、拙著『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』です。
本書が、「どのように生活習慣を改善すれば良いのか、わからない」という方のお役に立つことができれば幸いです。
エメラルド整形外科疼痛クリニック
札幌市北区で麻生駅に近接し、痛みに対して積極的に治療を施行(電話:011-738-0011)
・治療方針:「両極の治療」
・治療方針の解説:全国初の試みである『モデル症例報告』を通じて、わかりやすく詳細に解説
・特徴:多彩な独自の治療法(漢方薬、バイオフィードバックなど)
・リハビリテーション:理学療法士は担当制で、2単位40分で実施
・骨粗鬆症:『骨粗鬆症打開プロジェクト』を展開するなど、積極的に治療
・院長の書籍:『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』
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