「適切な食生活」の追加事項

書籍『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』では、7つの叡智®のうち、『1. 世界の長寿地域』、『4. 東西栄養学の粋』、『5. 最上の薬』として、「適切な食生活」「適切な運動」についてご紹介しています。
しかし、「適切な食生活」について、紙面の関係でご紹介できなかった重要な内容がありますので、ホームページ上でご紹介することにしました。

『4. 東西栄養学の粋』とは

7つの叡智®の4番目、『4. 東西栄養学の粋』は、薬膳という東洋の叡智と、ナチュラルハイジーンという西洋の叡智に加え、最新の栄養学の叡智を融合したものです。
このページでは、書籍『骨粗鬆症治療の真実と7つの叡智®~超健康と長寿の秘訣~』でお伝え出来なかった内容として、

  • 食べ合わせの原則:ナチュラルハイジーンから
  • 食べる時間帯:ナチュラルハイジーンから
  • 全粒穀物より良い食物:最新の栄養学
  • オーニッシュプログラム

について、ご紹介します。

食べ合わせの原則:ナチュラルハイジーンから

消化酵素には、酸性とアルカリ性のものがある

一般的に、タンパク質の消化には酸性の消化酵素が必要です。
そして、pHが酸性から中性に近づくにつれ、消化する能力は低下します。
同様に、炭水化物の消化にはアルカリ性の消化酵素が必要で、pHがアルカリ性から中性に近づくにつれ、消化する能力は低下します。

肉・魚・卵・乳製品などのタンパク質が豊富な食物だけを食べるのであれば、分泌された酸性の消化酵素は、十分有効に働くことができます。
同様に、米、パン、パスタ、麺類、イモ類などの炭水化物が豊富な食物だけを食べるのであれば、分泌されたアルカリ性の消化酵素は、十分に有効に働くことができます。

問題は、タンパク質を豊富に含む食物と炭水化物を豊富に含む食物を一緒に食べた場合です。
この場合は、酸性の消化酵素とアルカリ性の消化酵素が同時に分泌されることになりますので、酸性とアルカリ性の物質が混在するためにpHが中性に近づくことになり、結果、タンパク質と炭水化物の両方の消化能力が低下します。

ここで大切なことは、タンパク質と炭水化物の消化自体は可能ですが効率が低下してしまうということです。
つまり、消化に時間がかかるようになり、多くのエネルギーが必要となるということです。
また、それぞれを単独で食べた場合と比較し、十分に消化をすることができない可能性があります。
そしてその結果、有害な老廃物、毒物が生成してしまうことになります。

正しい食べ物の組み合わせ

上記のことから、正しい食べ物の組み合わせがわかります。
それは、タンパク質を多く含む食物と炭水化物を多く含む食物は、1度の食事では食べないということです。
ただし、野菜は例外で、タンパク質を多く含む食品と野菜はOKで、炭水化物を多く含む食品と野菜もOKです。

実際に、正しい食べ物の組み合わせで食事をしてみると、体に大きな変化が現れることを実感すると思います。
具体的には、無気力感、吹き出物、アレルギー、風邪、腰痛、不眠症などが改善し、頭がはっきりし、集中力が向上すると言われています。

食べる時間帯:ナチュラルハイジーンから

1日のサイクル

ナチュラルハイジーンでは、1日のサイクルは下の表のようになっており、各々のサイクルを阻害しないことが健康にとって非常に大切であると考えられています。
具体的には、午前4時~正午は排泄のサイクルに該当するため、この時間帯は食事はとらずに体が排泄することを阻害しないことが大切になります。
そして、その結果、毎日、有毒な老廃物を効率よく排泄することができれば、病気の元となる毒素が貯まることなく、健康な体を維持できることになります。

Are Waerland(スウェーデンの医学者), 1940年代に提唱

朝食は、フルーツを!

1日のサイクルから考えると、排泄のサイクルにあたる朝食は、食事を摂らずにできる限り排泄を阻害しないことが大切です。
そのため、もし朝食を食べるのであれば、ほとんど消化にエネルギーを消耗しない(エネルギー転換効率が90%と高い)フルーツだけを食べることが推奨されています。

全粒穀物より良い食物:最新の栄養学から

全粒穀物は精製穀物よりは体に良い

穀物は精製することにより、マグネシウム、亜鉛、カルシウムなどのミネラルや、ビタミン、ファイトケミカルなどの体にとって非常に大切な成分が失われてしまいます。
そのため、精製穀物より全粒穀物の方が健康に良いことが知られています。

GI:グリセミックインデックス

GI(グリセミックインデックス)とは、炭水化物が糖に変化して血糖値が上昇する度合いを示す値で、GI値が低いほど血糖値は上昇しにくいことを意味します。
反対に、GI値が高いほど血糖値は上昇しやすいということになります。
GIは、70以上であれば高GI値食品、55~70であれば中GI値食品、55以下であれば低GI値食品となります。

GL:グリセミックロード

GL(グリセミックロード)は、1回で食べる量を考慮に入れて補正した数値でありGIより有用であると考えられています。
GL値が高い食品は血糖値は上昇しやすく、糖尿病、心臓病、各種のがんのリスクが高くなるため、できるだけ控えた方が良いことがわかっています。
また、同じ食品でも加工することで、GIやGLが上昇します。

白澤卓二 『2週間で効果がでる!ケトン食事法』, 2012.

実は、玄米や全粒小麦などの全粒穀物は、GIやGLが高い

実は、全粒穀物といっても玄米や全粒小麦はGIやGLが高いことが判明しています。
そのため、いくら全粒穀物が体に良いと言っても、玄米や全粒小麦自体はそれほど良い食物とは言えません。
では、どのような食物が良いのでしょうか?

Foster-Powell K et al. Am J Clin Nutr, 2002

豆類が理想

その答えは、豆類です。
豆類は、レジスタントスターチという難消化性でんぷんが豊富に含まれているため、消化されにくいためGIが低くなります
さらに、豆類は質量当たりのカロリーも低く、微量栄養素、食物繊維を多く含むため、健康に良いと言えます。
なお、レジスタントスターチは、消化器官で有益菌の増殖を促し、有益菌により分解され、免疫機能を向上させ、がんのリスクを減少することが知られています。

オーニッシュ・プログラム

オーニッシュ・プログラムとは

オーニッシュ・プログラムという心臓病治療のためのプログラムがあります。
オーニッシュ・プログラムは、プラントベース(植物生性食品中心)の食事に、リラクゼーション
・瞑想や運動
を組み合わせた治療プログラムで、米国では保険適応で価格は$6000前後です。
なお、心臓の冠動脈のバイパス手術は約$40000です。

オーニッシュ・プログラムの学術報告

アテローム性冠動脈硬化症の28症例を対象とし、生活改善群(プラントベースの食事・リラクゼーション・瞑想・運動)と、コントロール群の2つのグループに分け、実施前と1年後の治療後で、冠動脈の狭窄の度合いを、ランダム化比較試験で評価しました。
結果が下の表で、生活改善群は全ての狭窄や50%以上の狭窄が共に改善していましたが、コントロール群は増悪しており、その差は明らかでした。

Ornish D et al. Lancet 1990


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