ペインクリニックの重大な弱点

ペインクリニックにも弱点がある

ペインクリニックは、部位や診療科に関係なく、全身の痛みを治療する診療科ですので、全身のどこかの痛みに困ってペインクリニックを受診することは正解です。

しかし、ペインクリニックにも弱点があります。

弱点①:ペインクリニックは数が少ない

ペインクリニックの最も大きい弱点が、数が少ないことです。
ペインクリニックには、
A. 総合病院の麻酔科がペインクリニックも行う形式
B. 単科の病院に在籍する麻酔科がペインクリニックも行う形式
C. 麻酔科がクリニックでペインクリニックのみを行う形式
の3つの形式があります。
形式ごとに解説します。

A. 総合病院の麻酔科がペインクリニックも行う形式の弱点

日本には多くの総合病院があります。
総合病院とは、わかりやすく言うと、多くの診療科があり多くの医師が勤務している病院のことです。
総合病院には、整形外科や外科、耳鼻科などの外科系の診療科や、手術を行うために麻酔科があることがほとんどです。

しかし、全ての総合病院の麻酔科がペインクリニックを行っているわけではありません。
麻酔科が手術麻酔しか行っていない施設もあります。

そのため、総合病院の数よりも少ない施設数しかペインクリニックを行っていません。

B. 単科の病院に在籍する麻酔科がペインクリニックも行う形式

整形外科などの1つの診療科(単科)の病院に在籍している麻酔科がペインクリニックを行うことは、基本的に極めて稀です。
その理由は、この形式の場合、麻酔科は手術麻酔のために病院に雇用されているのであって、ペインクリニックのために雇用されているわけではないからです。

そのため、単科の病院自体は数多くありますが、ペインクリニックを行っている施設はほぼ皆無でしょう。

C. 麻酔科がクリニックでペインクリニックのみを行う形式

麻酔科医が独立し、ペインクリニックのクリニックを開院している形式です。
ペインクリニックのための医療機関ですので、もちろんペインクリニックを行いますが、かなり数が少ないことが現実です。

以上のように、ペインクリニックの数は少ないため、痛みに悩む患者さんがペインクリニックを受診したいと思ってもなかなか近所にはなく受診する際に困難が生じることは大きな弱点となります。

弱点②:ペインクリニック医は、診療科特有の機能や解剖を熟知していない

ペインクリニック医のほとんどは麻酔科医です。
そのため、全身麻酔や薬剤の知識・経験は豊富ですが、診療科特有の機能や解剖を熟知しているわけではありません

具体的には、整形外科頭部以外のほぼ全身の運動にかかわる部分の痛みを治療する診療科ですが、整形外科医は運動器の解剖や機能を熟知しています
同様に、耳鼻咽喉科医は耳・鼻・咽頭の解剖や機能を熟知しています

これらの専門の診療科医と比較する場合、どうしてもペインクリニック医は不利になってしまいます。

弱点③:ペインクリニック医は、東洋医学が苦手

ペインクリニック医に限らず、ほとんどの診療科の医者は漢方薬などの東洋医学が苦手です。
漢方薬は、西洋医学では良くならない痛みに対して有効であることが多いため、重要な痛みの治療の柱となりうるものであり、さらに、健康保険で治療できるものですので、患者さんにとって非常に有益な治療法の1つであるにもかかわらず、非常に残念なことです。

しかし、ペインクリニック医は、比較をするとほかの診療科医よりは東洋医学の知識がある医師が多い印象があります。

弱点④:ペインクリニック医は、心に対するアプローチが苦手

これまでの西洋医学は、心と身体は別であるという二元論に基づいていたため、診療科も整形外科や麻酔科・ペインクリニックなどのように身体の治療をする診療科と、精神科のように心の治療をする診療科が分かれてしまっています。
そのため、ほかの診療科医と同様、ペインクリニック医も心に対するアプローチが苦手です。

心に対するアプローチとは、具体的には、心に作用する漢方薬や認知行動療法などのことです。

まとめ

ペインクリニックの弱点
・弱点①:ペインクリニックは数が少ない
・弱点②:ペインクリニック医は、診療科特有の機能や解剖を熟知していない
・弱点③:ペインクリニック医は、東洋医学が苦手
弱点④:ペインクリニック医は、心に対するアプローチが苦手


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